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2026年2月24日

ADMネットワーク工程表とは何か:書き方・使い方を解説

ADM(Arrow Diagramming Method)形式のネットワーク工程表の基礎から、クリティカルパスの読み方・使い方まで解説します。バーチャートとの違い、建設業での活用場面を整理します。

#工程管理#ADM#ネットワーク工程表#施工管理

工程管理の教科書には「ネットワーク工程表」が登場します。しかし実務で使いこなしている現場監督は多くありません。「理屈は分かるが実際に使ったことがない」という人がほとんどです。

なぜか。「書くのが難しい」「専用ソフトがないとできない」という印象があるからです。

ADMネットワーク工程表の基本を整理し、バーチャートとの違いと実務での使い方を解説します。


ADMとは何か

ADM(Arrow Diagramming Method:矢線式ネットワーク)は、工種(作業)を矢印で表し、工種間の依存関係を図で示す工程管理手法です。

  • 矢印:1つの作業を表します(矢の向きが時間の流れ)
  • 結合点(○):作業の開始・終了を表すイベント
  • ダミー(点線矢印):作業ではなく依存関係だけを示します
結合点① →[基礎工事]→ 結合点② →[躯体工事]→ 結合点③
                ↘[設備先行配管(ダミー)]↗

バーチャートとの違い

比較項目バーチャートADMネットワーク工程表
見た目横棒グラフ矢印のネット図
作成難度簡単やや高い
依存関係表現できない明確に表現できます
クリティカルパス計算できない自動算出できます
工期変更時全て手動修正自動的に連鎖計算
適した規模単純な工事複数工種・複雑な工事

バーチャートは「いつ何をやるか」を見やすく示せますが、「工種間の関係」が見えません。一つの工種が延びたとき、後工程への影響を自動計算できないのが最大の弱点です。

ADMは工種間の論理関係を矢印で定義するため、どこかで遅れが発生したとき、その影響が工程全体に自動的に伝播し、工期への影響が瞬時に計算できます。


クリティカルパスとは何か

ネットワーク工程表から得られる最も重要な情報が「クリティカルパス」です。

クリティカルパスの定義: 工事の開始から完了までの経路のうち、最も合計所要時間が長い経路のことです。この経路上の工種が遅れると、工事全体の工期が延びます。

計算の基本

各結合点について以下を計算します。

  • 最早結合点時刻(ET): その結合点に最も早く到達できる時刻
  • 最遅結合点時刻(LT): 工期を守るためにその結合点を通過しなければならない最終時刻
  • トータルフロート(TF): その作業が持つ余裕時間(TF=0の作業がクリティカルパス上にあります)
TF = LT(終了結合点) - ET(開始結合点) - 作業日数
TF = 0 → クリティカルパス

計算例

以下の工事を想定します。

作業A(基礎):10日
作業B(躯体・Aの後):20日
作業C(設備先行・Aの後):8日
作業D(仕上げ・BとCの後):15日

経路①:A→B→D = 10+20+15 = 45日(クリティカルパス) 経路②:A→C→D = 10+8+15 = 33日

→ 経路①がクリティカルパスです。作業B(躯体)が遅れると工期が延びます。 → 作業C(設備先行)はトータルフロート12日の余裕があります。


実務での使い方

工期変更時の自動計算

一つの工種の工期が変わったとき、後続全工種の日程をADMなら自動的に再計算できます。これがバーチャートとの最大の実務差です。

リソース配分の最適化

トータルフロートが大きい工種は、多少遅れても工期に影響しません。クリティカルパス上の工種に人員・機材を集中させる判断ができます。

発注者への説明

「なぜこの工期になるか」を論理的に示せます。クリティカルパスを明示することで、工期変更が発生した際の説明資料にもなります。


ネットワーク工程表を実務で使うための前提

手書きでADMを作るのは、工種数が多くなると現実的ではありません。ツールが必要です。

必要な機能:

  • 矢印とノードをGUIで配置できます
  • クリティカルパスを自動計算できます
  • 工期変更時に後続工種を自動更新できます
  • 歩掛から工期を自動算出できます(あれば理想)

Con-Scheは、ADM形式のネットワーク工程表をブラウザ上で作成でき、クリティカルパスの自動計算・歩掛DBによる工期自動算出に対応しています。


よくある質問

Q. ネットワーク工程表は全ての工事で使うべきですか?

A. 工種数が少なく単純な工事(10工種以下程度)はバーチャートで十分です。複数工種が並行して進み、依存関係が複雑な工事、または工期厳守が求められる公共工事でネットワーク工程表の効果が発揮されます。

Q. ネットワーク工程表の作成に時間がかかります。何かコツはありますか?

A. まず全工種を洗い出し、「何の後に始まるか」を矢印でつなぐことに集中してください。最初から正確な日数を入れようとすると時間がかかります。依存関係の骨格ができてから、工期を入力する順序が効率的です。

Q. PDM(Precedence Diagramming Method)とADMの違いは何ですか?

A. ADMは作業を矢印で表し、ノードがイベントです。PDMは作業をノード(箱)で表し、矢印が依存関係を示します。現代のプロジェクト管理ソフトのほとんどはPDMを採用していますが、建設業では国交省の工程管理基準にADMが明記されており、公共工事では今もADMが主流です。


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