Notes

2026年5月10日

freeeを入れても、会計はDXされていなかった。ChatWorkの履歴とAIで埋めたラストワンマイルの話

クラウド会計ソフトで会計は楽になりました。でも作業の自動化はされていません。税理士とのChatWork履歴をAIに読ませて仕訳に反映させた、一人社長の経理自動化の記録です。

#AI活用#業務効率化#建設DX#経理#建設業#税理士

freeeを使っていて、会計処理は確かに楽になりました。でも最近ふと思ったのです。これ、DXなのかと。

伝票を手書きしていた頃に比べれば雲泥の差です。銀行明細もカードも自動で取り込まれて、月末の作業時間は減りました。減ったのですが、減っただけなのです。結局、誰かが画面を見て、勘定科目を選んで、税区分を確認して、ポチポチ登録しています。その誰かが私でした。

楽にはなったけれど、自動化はされていない。SaaSを入れたことと、業務がDXされたことは、別の話だと思います。本当にやってほしかったのは、その作業が人の手を離れることだったはずなので。

その最後の一区間を、AIで埋められないか。やってみた記録を書きます。


残っていたのは「判断」と「繰り返し」

会計の作業を分けると、機械がやれる部分と、人がやっている部分に分かれます。取り込みも集計も機械がやります。では人は何をしているかというと、「これは何費か」「この消費税はどう扱うか」を判断して入力しています。そしてその判断は、毎月だいたい同じことの繰り返しです。

その判断基準を持っているのは税理士です。指摘を受けて、直して、翌月また似た取引が来て、また同じことを確認する。この往復が地味に重いのです。

判断の基準は税理士の頭の中にあり、繰り返しの作業は私の手元にある。この二つが繋がっていませんでした。ここが自動化されずに残っていたラストワンマイルです。


ChatWorkの履歴を、AIに読ませてみた

税理士とのやり取りには ChatWork を使っています。もともと税理士さん側からの指定でしたが、これが後から効いてきました。

ChatWork には API があるので、やり取りを外から取り出せます。そこで、税理士との会話を毎日自動で取得してためる仕組みを作りました。会話には「これはこう処理して」という指摘が混ざっているので、後から読み返せる形で残します。

次に、ためた会話をAIに読ませます。指摘には種類があります。今後ずっと適用される恒久ルールなのか、消費税区分の直しなのか、今回だけの依頼なのか。人が読めば一瞬で分かるこの仕分けを、AIにやらせます。

そして恒久ルールに該当するものを freee 側の処理に反映します。一度反映すれば、次に同じパターンの取引が来たとき、正しく処理されます。指摘を受けて直すのではなく、指摘を仕組みに覚えさせて、二度目からは手をかけない。これがやりたかったことでした。

ついでにレシートも同じ流れに乗せました。撮って取り込めば、内容を読み取ってルールに沿って仕訳を起こし、登録する。手入力していた部分が、ほぼ流れていくようになりました。

正直、一筋にはいきませんでした。認証や権限でつまずいて、何度も手が止まりました。私はプログラマーではありません。それでもAIと相談しながら、つまずいては直しを繰り返して、なんとか動くところまで持っていけました。完璧ではなく、今でも読み取りを間違えますし、迷う取引は人が見ます。それでも定型作業の大半は機械が片付けるようになりました。


SaaSはゴールではなく、土台だった

やってみて思うのは、freee のようなクラウド会計はゴールではなく土台だということです。

土台があるから、その上に自動化が乗ります。APIがあって、データが構造化されていて、外から触れる。これがなければAIを噛ませることもできませんでした。SaaSの導入が無駄だったという話ではありません。ただ、そこで止まっていると、便利なだけで終わってしまいます。

DXという言葉は大げさに使われすぎている気もします。でも本来の意味があるとすれば、それは「ツールを入れること」ではなく「人の手が要らなくなること」のはずです。ツールを入れた時点では、まだ半分も来ていません。

建設業は人が足りません。バックオフィスに専任を置ける会社のほうが少ないと思います。だからこそ、この最後の半分を埋める価値があります。派手なシステムは要りません。同じ作業を二度やらない、を一つずつ潰すだけです。

「AIは大企業のもの」という感覚は、もう古いと思います。専門家でなくても、つまずきながらでも、自分の手で組めます。経営者がまず一歩を出してみる。そこからしか始まらない気がします。

(仕組みの中身や作り方については、お問い合わせから聞いてください。)


税理士は「先生」ではなく、事業を伸ばす相棒

ここからが、本当に書きたかったことだ。

この自動化を進めて、税理士との関係そのものが変わりました。

以前は、税理士は教わる相手でした。でも、仕訳から登録までを自動で回すことが前提になると、求めるものが変わります。作業は人手をかけずに回す。税理士には、その判断ルールの設計を一緒にやってほしい。どういう方針で処理を組むかを伴走してくれる相棒。そういう位置づけになっていきます。

これからの経営者が税理士に求めるものは、たぶん二つあります。

ひとつは環境への適応力です。freee やマネーフォワードのようなクラウド会計に対応しているか。データ連携の窓口があるか。ここが噛み合わないと、こちらで自動化しても会計側で詰まります。

もうひとつはコミュニケーションツールです。普段は顔を合わせないのが前提になりつつあるので、日々のやり取りのしやすさが効いてきます。そして、どのツールを使うかは自動化のしやすさに直結します。API でやり取りを取り出せるツールだと格段に楽です。経験から言うと、ChatWork や Slack はこの点で強いです。LINE はできなくはないものの、会社側で連携を組むときに手間がかかります。Discord も一応いけますが、実務の窓口としては ChatWork か Slack が現実的だと思います。これから税理士とツールを決めるなら、この観点も一度話しておくとよいです。

ただ、対面が減るからこそ、人となりや距離感はかえって大事になります。チャット越しでも信頼できるか、相談しやすいか。時には会って話すことも、やはり要ります。


自動化したからこそ、確認する人が要る

そもそも freee を使うこと、税理士に頼ることには、作業が楽になる以上の意味があります。専門家が後ろ盾にいてくれること、自分の分からない領域を教えてもらえること。経営者にとって、これは安心の源です。

では、その業務をAIで完全に自動化したとします。仕組みは回り、仕訳も自動で起きます。でも、ここで問題が残ります。AIが起こしたその仕訳、本当に正しいのかを、私自身が判別できないのです。会計の知識がないから自動化したのに、その結果の正しさは知識がないと検証できない。自動化するほど、この穴がはっきりしてきます。

だから、システムで処理する部分と、その中身が正しいかを確かめる部分は、分けて考える必要があります。後者には人がいます。AIが流した処理を見て、これは合っている、ここはおかしい、と判断する人。いわゆる Human-in-the-loop、人が間に入って確認する仕組みです。

そしてここが大事なのですが、その人は必ずしも自分でなくてよいのです。むしろ自分では判別がつかないからこそ、頼れる人に頼る。その役割を税理士が担ってくれるなら、これ以上心強いことはありません。

自動化は人を要らなくする話に見えて、実は「どこに人を置くか」を選び直す話でもあります。手を動かす場所から、正しさを保証する場所へ。人の居場所が移ります。税理士には、その移った先にいてほしいと思っています。

この仕組みは、税理士の側も楽になります。同じ指摘を毎月繰り返さなくてよくなり、整理された情報が届き、判断すべきところに集中できる。お互いが楽になる形を一緒に作っていけたら、たぶん一番いいのだと思います。


建ログでは、建設業の経営者向けに、AIを活用したバックオフィス業務の効率化をBPOで支援しています。

ご相談はこちら

無料相談

建設業のデータ活用、お気軽にご相談ください

書類・集計代行、AI活用セミナー、Con-Scheなど、 ご状況に合わせてご提案します。

無料相談はこちら →