施工管理の仕事で、一番つらいのは何か。
多くの現場監督に聞くと、「書類」という答えが返ってきます。日報、安全書類、施工記録、写真整理——現場から戻った後に待ち受けるデスクワークが、長時間労働の一因になっています。
竹中工務店で施工管理を経験した立場から、AIを使って書類仕事を減らした実例をお伝えします。
書類作成にかかる時間の実態
施工管理の書類作業は、思っている以上に時間を取ります。
一般的な規模の現場では、以下のような作業が毎日・毎週発生します。
| 作業 | 所要時間(目安) |
|---|---|
| 日報入力 | 15〜30分/日 |
| 安全書類の更新 | 30〜60分/週 |
| 写真の整理・台帳作成 | 1〜2時間/週 |
| 出来高の集計・報告 | 2〜4時間/月 |
| 協力会社への連絡・書類確認 | 1〜2時間/週 |
月間に換算すると、純粋な書類作業だけで30〜50時間になることもあります。これを減らせれば、現場監理の質が上がります。
ChatGPTで何ができるか
ChatGPTは、文章の生成・要約・変換に強いです。建設現場の書類作業に当てはめると、以下のような用途があります。
日報の文章化
現場で起きたことを箇条書きで入力すると、日報の文章として整形してくれます。
入力例(箇条書き):
・A区画の型枠組み 2班で作業 完了80%
・コンクリート打設は明日午前に変更
・資材搬入 15:00 鉄筋200本 確認済み
・安全確認 全員 異常なし
ChatGPTへの指示: 「上記を施工日報の本文として300字程度で整形してください。」
数秒で文章化されます。毎日これをやるだけで、日報入力の時間が半分以下になります。
書類の文章修正・言い換え
「これを正式な書類の文体に直してほしい」という使い方もできます。現場でメモした内容を、発注者に出せる形式に変換する作業に向いています。
メールの下書き
協力会社や発注者へのメール文章の下書きを作らせることもできます。件名と要点を伝えるだけで、礼儀正しいビジネスメールが出てきます。
ExcelとAIの組み合わせ
ChatGPTとExcelを組み合わせると、さらに効率が上がります。
出来高の自動集計
Excelのデータ(工種・数量・単価)をコピーしてChatGPTに貼り付け、「月次の出来高集計表を作ってください」と伝えると、集計式付きのExcel用データを返してくれます。
写真台帳の自動化
ExcelのVBA(マクロ)をChatGPTに書かせることもできます。「フォルダ内の写真を一覧化して、撮影日時・ファイル名をExcelに書き出すマクロを作ってください」と指示すると、そのままExcelに貼り付けて使えるコードが出てきます。
プログラミングの知識がなくても、指示の仕方さえ覚えれば使えます。
実際に削減できた時間
私がコンサルとして支援した中堅建設会社(年商約30億円)での実例です。
現場監督3名が月間で書類作業に費やしていた時間:
導入前: 1人あたり約45時間/月 導入後: 1人あたり約22時間/月 削減: 約23時間/人・月 → 3人合計で69時間/月の削減
時給換算(管理職・2,500円/時)で月間約17万円相当の工数削減。年間で200万円以上のコスト改善になりました。
ツールへの投資は、ChatGPT Plusの月額料金(約3,000円/人)だけでした。
注意点:AIを使う際のルール
機密情報は入力しない
発注者名・工事名・個人情報を含む内容をそのまま入力しないことが原則です。「A社の〇〇工事」を「プロジェクトα」に置き換えるなど、匿名化してから使います。
出力を必ず確認する
AIは間違えることがあります。数値の計算ミス、文脈のズレ、事実と異なる表現が混じることがあります。必ず人間が確認・修正してから使います。
会社のルールを確認する
機密情報の取り扱いについて、会社のセキュリティポリシーを確認した上で使い始めてください。
よくある質問
Q. ITが苦手な50代でも使えますか?
A. ChatGPTはスマートフォンで使えます。LINEを使えるなら使えます。まずは日報1件分だけ試してみてください。
Q. 無料版と有料版は何が違いますか?
A. 無料版(GPT-3.5)でも日報の文章化程度は十分できます。より複雑な書類作成や長文処理には、月額約3,000円のPlus(GPT-4o)が向いています。
Q. 会社に導入するにはどうすれば?
A. まず自分一人で試して「月〇時間削減できた」という実績を作ることが、社内説得の一番の近道です。セミナーでの体験学習もご活用ください。
建ログでは、AIを活用した書類作成の実務研修(建設業向けAIセミナー)と、日報・出来高・書類作成のBPO代行サービスを提供しています。