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2026年2月24日

DX推進担当が社長を説得するための「費用対効果」資料の作り方

建設業のDX導入稟議で社長を説得するための費用対効果資料の作成方法を解説します。却下される提案書の失敗パターンと、経営者が納得する数値の見せ方を具体的に示します。

#建設DX#ROI#費用対効果#DX推進

「社長にDXの稟議を出したが、また却下された」——中堅建設会社のICT担当者・総務担当者からよく聞きます。

却下の理由を分析すると、提案内容よりも「資料の作り方」に問題があることが多いです。社長が見ているポイントと、担当者が見せているポイントがずれています。

FPTコンサルティングジャパンで建設業の業務改革提案を担当した経験から、「通る稟議資料」の作り方を整理します。


社長に却下される提案書の典型パターン

パターン1:ツール費用しか書いていない

「月額15万円のSaaSです」だけでは、社長には「月15万円のコスト」としか見えません。現状の内製コスト(書類作業に費やしている人件費)を対比で示さなければ、削減効果が伝わりません。

パターン2:「効率化できます」で終わっている

「20%の工数削減が見込めます」という文章だけでは弱いです。「誰が・何時間・時給いくらを削減できるのか」を数値で示さないと、経営者は金額換算できません。

パターン3:ベンダーのカタログをそのまま添付している

カタログは自社の課題を前提に作られていません。「うちの会社の場合、どうなるか」を自分で計算して示す必要があります。

パターン4:リスクを一切書いていない

「良いことしか書いていない」資料は信頼されません。「想定されるリスクと対策」を明記することで、資料の信頼性が上がります。


社長が本当に見ているポイント

建設会社の経営者が投資判断で最も気にするのは以下の3点です。

1. 投資回収期間(Payback Period)

「何ヶ月で元が取れるか」が最初の判断軸です。一般的に6〜12ヶ月以内なら通りやすく、2年超えると厳しくなります。

2. 月次のキャッシュフロー

「毎月いくら払って、いくら得するか」の月次純損益を見ます。単月で黒字になるタイミングを明示します。

3. 「やらないリスク」の大きさ

「DXしないと何が起きるか」を提示することで、現状維持の危険性を認識させます。i-Construction 2.0対応・BIM/CIM原則適用・人手不足の深刻化が「やらないリスク」の根拠になります。


費用対効果試算テンプレートの構造

ステップ1:現状コストの数値化

■ 書類作業コスト(月次)
所長○名 × □時間/月 × △円/時 = ●円/月
事務○名 × □時間/月 × △円/時 = ●円/月
ミス修正:月○件 × □時間 × △円/時 = ●円/月
─────────────────────────────────────
現状の書類業務コスト合計:●●万円/月

現状コストを自分で計算してみることが最重要ステップです。この数字が大きければ大きいほど、投資の正当化が簡単になります。

ステップ2:導入コストの計算

■ ツール費用:月額○万円
■ 導入・設定費用:●万円(3年間で月換算:▲万円/月)
■ 研修費用:●万円(3年間で月換算:▲万円/月)
■ 社内運用工数:月□時間 × △円/時 = ●万円/月
─────────────────────────────────────
月次コスト合計:○○万円/月

ステップ3:削減効果の試算

■ 書類作業削減(30〜50%削減と仮定):●万円/月
■ ミス・修正コスト削減:●万円/月
■ 担当者退職・交代リスク低減(定性):採用コスト相当
─────────────────────────────────────
月次効果合計:○○万円/月

ステップ4:投資回収期間の計算

月次純利益 = 月次効果 - 月次コスト = ●万円/月
投資回収期間 = 初期費用 ÷ 月次純利益 = ○ヶ月

補助金を組み込んだ場合の試算

IT導入補助金(補助率2/3)を活用できる場合、初期費用の実質負担が大幅に下がります。

試算例

項目補助金なし補助金あり(2/3補助)
初期費用30万円10万円
月次コスト15万円15万円
投資回収期間(月次純利益5万円の場合)6ヶ月2ヶ月

補助金を活用した場合の数字を「補助金活用案」として別途提示することで、経営者の選択肢が広がります。


提案書に入れるべき「リスクの提示方法」

導入リスク(正直に記載する)

  • 現場の習熟に1〜2ヶ月かかる可能性
  • 既存フォーマットとの移行作業が発生
  • IT導入補助金が採択されない場合の費用増

やらないリスク(こちらの方が大きいことを示す)

  • i-Construction 2.0対応遅れによる公共工事競争力の低下
  • 担当者依存・属人化リスクの継続
  • 他社との生産性格差の拡大

「導入リスク」と「やらないリスク」を対比で示すことで、現状維持が安全ではないことを伝えます。


社内を動かすために

数字だけ並べても、「他の会社でもやっているか」という事例の訴求が決め手になることが多いです。

  • 同規模・同業種の会社の導入事例を1〜2件添付します。
  • 「まずパイロット導入(1〜2現場)で検証してから判断する」という逃げ道を作ります。
  • 否決された場合の「再提案条件」を先に確認しておきます(どうすれば通るか)。

よくある質問

Q. 社内で書類業務の工数を測定する方法はありますか?

A. 最も簡単な方法は「1週間、日報・書類作成にかけた時間を記録してもらう」ことです。担当者3〜5名に1週間の記録を依頼するだけで、十分な根拠データが集まります。

Q. 補助金採択率はどれくらいですか?

A. IT導入補助金の採択率は年度・枠によって異なります(例年50〜70%程度)。採択されなかった場合でも、申請費用はかかりません。「採択前提で計画を立てない」ことと、「採択されなくても判断が変わらない費用対効果」を示すことが重要です。

Q. 稟議を通すためのセミナーや相談窓口はありますか?

A. 建ログでは、費用対効果試算の支援や導入相談を受け付けています。「社内説得に使える資料を一緒に作りたい」という相談も歓迎します。


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