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2026年2月24日

出来高・歩掛の集計をExcelからクラウドに移行した会社の話

出来高・歩掛集計をExcelからクラウドに移行した専門工事業の実例を紹介します。移行前の課題・移行のステップ・移行後の変化を具体的に解説します。

#建設DX#出来高管理#歩掛#Excel

「Excelでやってきたから、今さら変えなくていい」——この言葉が変わったのは、ベテラン担当者の退職がきっかけでした。

複雑な集計Excelを作った本人が辞めた後、誰も中身を理解できませんでした。修正するたびに数式が壊れ、月末集計のたびに残業が発生しました。それが移行を決断した本当の理由です。

ここでは、出来高・歩掛の集計をExcelからクラウドに移行した専門工事業の事例を、移行前後の比較を含めて紹介します。


この会社の概要

  • 業種: 鉄筋工事業(専門工事)
  • 規模: 年商約18億円、従業員32名、現場担当者8名
  • 移行前の管理ツール: Excel(VBAマクロ付き)+ 紙日報
  • 主な課題: 担当者依存・月末集中・フォーマットのバラつき

移行前の状態:何が問題だったか

1. Excelが「属人的な要塞」になっていた

10年以上運用してきたExcelは、複数の担当者が少しずつ改造を加え、誰も全体を把握できなくなっていました。数式が壊れても「触らないほうがいい」という空気がありました。

2. 月末に集計が爆発する

日報・出来高データは現場から週1でFAXが届きます。それを事務所のスタッフが手入力し、月末に一括集計する流れでした。月末の3〜4日間、事務スタッフの残業が10〜15時間になっていました。

3. 現場間の比較ができなかった

各現場のExcelファイルが独立していたため、「どの現場の生産性が高いか」「どの工種の歩掛が実績と乖離しているか」を横断的に確認する手段がありませんでした。経営判断に使えるデータになっていませんでした。

4. ベテラン退職で危機が顕在化

唯一Excelの全体を理解していた事務担当者が退職しました。引き継ぎで2名が関わりましたが、1ヶ月後の月末集計でエラーが多発しました。「このままでは続けられない」という判断に至りました。


移行のステップ:どう進めたか

ステップ1:現状の洗い出し(2週間)

まず「何のデータを・誰が・どの頻度で・何のために使っているか」を整理しました。

出てきたのはこういうリストです。

データ使用者頻度用途
日報(作業員数・作業内容)現場→事務週次月次集計の原票
出来高(工種・数量・単価)事務月次発注者への出来高請求
歩掛(工種・数量・投入人工)所長・事務月次工種別生産性の確認
原価差異(予算vs実績)経営者月次利益管理

「実は誰も使っていない」データが複数あり、Excelの複雑さの原因の一部がここにありました。

ステップ2:フォーマットの統一(1ヶ月)

移行先ツールを決める前に、入力フォーマットを統一しました。

バラバラだった現場ごとの日報様式を1種類に統一し、記入項目を絞りました。「今まで書いていた項目の3割は、読む人も使う人もいなかった」という事実が、この作業で初めて明確になりました。

ステップ3:クラウドツールの選定とパイロット導入(1ヶ月)

2現場でクラウド集計ツールを試験導入しました。ポイントは「Excelへの出力ができるか」です。発注者への提出書類がExcel形式を求めるケースがあったため、出力互換性を確認しました。

ステップ4:全現場への展開(2ヶ月)

パイロットで問題が出なかったことを確認してから、全8現場に展開しました。ツールの操作研修(30分)と、最初の1ヶ月はExcelとの並行運用を行いました。

ステップ5:Excelからの完全移行(3ヶ月目)

並行運用中に問題が出なかったため、3ヶ月目からExcelを廃止しました。「旧Excelに戻す」という選択肢を明示的に閉じたことが、完全移行の決め手になりました。


移行後の変化

数値で見た変化

指標移行前移行後
月次集計時間(事務スタッフ)約40時間/月約8時間/月
月末残業(事務スタッフ)10〜15時間ほぼゼロ
現場間の生産性比較不可月次で確認可能
歩掛の実績データ蓄積ファイルごとに散在一元管理
担当者交代時の影響大(属人化)小(ドキュメント化)

定性的な変化

経営者の変化: 月末に「集計が上がってくるのを待つ」から、「いつでも最新データを確認できる」状態に変わりました。利益管理の意思決定が早くなりました。

現場所長の変化: 週次で自分の現場の出来高・歩掛データを確認できるようになりました。「予算と実績のズレに気づくのが月末から週中に早まった」という声が出ました。

事務スタッフの変化: 月末の集中入力がなくなり、通常月は定時退社が増えました。「ルーティン入力」から「データ確認・チェック」に役割が変わりました。


移行で失敗しやすいポイント

フォーマット統一を後回しにしない

バラバラなフォーマットのままクラウドに移行しても、クラウド上でバラバラになるだけです。移行前のフォーマット統一が最も重要な作業です。

「完璧な移行」を目指さない

全データを過去分から移行しようとすると、工数が膨大になります。「新規データからクラウドに入れ、過去データはExcelを参照する」形で進めるのが現実的です。

並行運用期間を設ける

1〜2ヶ月の並行運用期間を設けると、「やっぱりExcelに戻したい」という心理的抵抗が和らぎます。「いつでも戻せる」という安心感が移行を後押しします。


よくある質問

Q. Excelのデータを移行先に取り込めますか?

A. 多くのクラウドツールはCSVインポートに対応しています。全データを移行する必要はないので、「新規データから新ツール」という方針で進めることを推奨します。

Q. 現場担当者がITに不慣れでも使えますか?

A. 入力項目を絞ったシンプルな画面にすることが重要です。「スマートフォンで入力できる」形にすると、現場での抵抗が大きく下がります。

Q. 発注者が求める様式に対応できますか?

A. 発注者指定の様式がある場合、Excelへのエクスポート機能があるツールを選ぶことが重要です。クラウド上でデータを管理しながら、提出はExcel形式で行う運用が現実的です。


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