2023年、国土交通省はi-Constructionの第2フェーズ「i-Construction 2.0」を本格始動させました。
第1フェーズ(2016年〜)がICT土工など一部工種のデジタル化だったとすれば、2.0は「建設生産プロセス全体のオートメーション化」を目指すものです。対象工種の拡大、施工の自動化・自律化、BIM/CIMによる3Dデータ連携が3本柱になっています。
ICT担当者にとって、この変化は「対応すべきスコープが大幅に広がった」ことを意味します。
i-Construction 1.0と2.0の違い
1.0フェーズ(2016〜2022年)
- 対象:土工・舗装工など一部工種
- 手法:ICT測量(ドローン)・ICT建機・3D設計データ活用
- 目標:2025年までに工事現場の生産性20%向上
1.0の成果として、ICT土工の普及率は国交省直轄工事で急速に上昇しました。ただし、対象が限られており、建設プロセス全体の変革には至りませんでした。
2.0フェーズ(2023年〜)
- 対象:全工種(建築・土木・設備工事を含む)
- 手法:施工オートメーション・BIM/CIM原則適用・CDE(共通データ環境)
- 目標:「建設現場の完全オートメーション」を中長期的なゴールに設定
現場で変わっていること
ドローン測量の日常化
1.0フェーズで普及したドローン測量は、2.0では「やる/やらない」の選択から「どう活用するか」の段階に移行しています。点群データから3Dモデルを生成し、設計データと比較する「出来形管理」が標準化されつつあります。
無人化・自律化施工の本格化
コマツ・日立建機などの建機メーカーが、ICT建機の遠隔操作・自律施工に本格投資しています。2025年時点では実証実験段階のものも多いですが、国交省の直轄工事ではパイロット導入が進んでいます。施工管理の役割が「操作者の監督」から「自律機械のオペレーション管理」に変わりつつあります。
BIM/CIM原則適用の拡大
2023年度から国交省直轄の大型工事でBIM/CIM原則適用が始まりました。発注者からIFCデータの提出を求められる案件が増えており、「BIMができない会社は公共工事を受注しにくくなる」という現実が近づいています。
ICT担当者が対応すべき技術スタック
i-Construction 2.0への対応は、単一ツールの導入ではなく「技術スタックの整備」として考える必要があります。
| レイヤー | 技術要素 | 代表的なツール・手法 |
|---|---|---|
| データ取得 | ドローン測量・3Dスキャン | UAV・LiDAR |
| 3Dモデル | BIM/CIM | Revit・Civil 3D・Vectorworks |
| データ共有 | CDE(共通データ環境) | BIM 360・ProjectWise |
| 工程管理 | 工程とBIMの連携 | ADM工程表×IFC連携 |
| 施工管理 | ICT建機・遠隔施工 | 各メーカーの施工管理システム |
この中で最も整備が遅れているのが「工程管理とBIMの連携」です。設計モデル(BIM)と施工工程(工程表)が分断されたままでは、BIMのデータを工程管理に活かせません。
Con-Scheのような、BIM/IFCデータを取り込んで工程表と連携できるツールは、この課題に対応するためのインターフェースになります。
対応できていない会社が直面するリスク
公共工事からの事実上の排除
BIM/CIM非対応のまま発注者要件が強化されると、入札資格や評点に影響が出る可能性があります。国交省の方針は明確であり、「後でやればいい」という先送りの余地は少なくなっています。
生産性格差の拡大
ICT活用の差は、施工効率だけでなく「見積り精度・工期管理・原価管理」の質にも影響します。対応が遅れる会社ほど、競争力の差が開きます。
実務レベルで何から始めるか
i-Construction 2.0への対応は、一度に全部やろうとすると失敗します。現実的な順序は以下の通りです。
- BIM/CIM原則適用の対象確認:自社が受注する工事の規模・種別が原則適用対象かを確認します。
- IFCデータの受け取り・提出ができる環境整備:ソフトウェア・担当者の確保をします。
- 工程管理ツールとのBIM連携:設計モデルと工程表を接続し、データを工程管理に活かします。
- 社内教育とパイロット実施:1現場で実績を作り、横展開します。
よくある質問
Q. i-Construction 2.0は中小建設業にも関係しますか?
A. 直轄工事・大型公共工事が主な対象ですが、下請け・専門工事業もBIM/CIM対応を求められるケースが増えています。元請けからIFCデータの受け渡しを求められる場面も出てきています。
Q. BIM対応のソフトウェアはどれを選べばいいですか?
A. 発注者・元請けが使用するソフトに合わせることが基本です。国交省はRevit・Civil 3D・Vectorworksなどを例示しています。まず「受け取れる・提出できる」環境を優先し、本格活用は段階的に進めることを推奨します。
Q. 工程管理とBIMの連携は具体的に何ができるのですか?
A. IFCデータを取り込んだ工程管理ツールでは、構造物の部位・工種と工程を対応付け、3Dモデル上で進捗を確認できます。Con-Scheでは、IFCインポートによる工程表との連携が可能です。